“究極”の防御のために胴体に板状・トゲ状の突起や鎧を進化させた装盾類(剣竜類・鎧竜類)。そのような植物食恐竜たちに対抗するなかで、身体を大型化したり歯や爪を進化させたりしたティラノサウルス類やメガラプトル類などの肉食恐竜。本展では、「攻・守」をキーワードに、両者を対比しながら恐竜たちの進化を読み解きます。
展示する標本は会期中、諸事情により変更になる場合があります。変更になる場合は、公式サイト及び公式Twitterでお知らせいたします。
ズールと対峙した
肉食恐竜
ゴルゴサウルス・リブラトゥス
分類:竜盤類 獣脚類 ティラノサウルス類
推定全長:9m 時代:後期白亜紀
脛の破壊者
ズール・クルリヴァスタトル
分類:鳥盤類 鎧竜類 アンキロサウルス類
推定全長:6m 時代:後期白亜紀
第1章
装盾類の
進化
植物食恐竜の出現によって、恐竜は爆発的に多様性を広げていきました。その中でも特に、胴体に板状・トゲ状の突起や鎧をもつことで守りを強化していった装盾類の進化に迫ります。
ブリストル市立博物館・美術館(寄託標本)の複製:ガストン社制作
スケリドサウルス
分類:鳥盤類 装盾類
時代:前期ジュラ紀
福井県立恐竜博物館所蔵
ヘスペロサウルス
分類:鳥盤類 剣竜類 ステゴサウルス類
時代:後期ジュラ紀
第2章
鎧竜ズールの
すべて
本展の主役であるズールは、頭骨から尾の棍棒までが一緒に発見された貴重な鎧竜です。鎧には皮膚が、尾には棍棒を支える腱などの軟組織までが化石として残っており、その完全度、保存状態の良さから鎧竜の進化を解明する大きな手かがりとなる恐竜です。その美しい姿を日本初公開します。
ズール・クルリヴァスタトル
分類:鳥盤類 鎧竜類 アンキロサウルス類
時代:後期白亜紀
種小名の「クルリ」はラテン語で
国立科学博物館所蔵
ケラトプス科の新種?
分類:鳥盤類 角竜類 ケラトプス類 時代:後期白亜紀
ズールと同じ時代を生きた角竜。国立科学博物館で研究中の実物化石を特別に公開します。
第3章
北半球における
獣脚類の進化
白亜紀最末期の北半球では、大型化したティラノサウルス類が生態系の頂点に上りつめました。ティラノサウルスの化石をもとに最新の研究成果などを紹介しながら獣脚類恐竜の大型化など恐竜の「生物学」について解説します。
ティラノサウルス・レックス
分類:竜盤類 獣脚類 ティラノサウルス類 時代:後期白亜紀
タイソン
頭部の一部(前関節骨)や、胸の叉骨、前あしの上腕骨、脊椎骨、腹肋骨、後ろあしの趾骨など、ティラノサウルスの中でも発見例が少ない部位の実物化石を使って、組み立てられた全身骨格を世界初公開
© Tyson T.rex, 2023
スコッティ
ティラノサウルス「スコッティ」全身復元骨格
(むかわ町穂別博物館所蔵)
©Courtesy of The Royal Saskatchewan Museum
※「スコッティ」は東京会場のみの展示
カゼルタ・ベネヴェント地方考古学・美術・景観監督局所蔵
”奇跡の赤ちゃん恐竜” スキピオニクス
分類:竜盤類 獣脚類 テタヌラ類 コエルロサウルス類 コンプソグナトゥス科時代:前期白亜紀
イタリア以外では初公開の実物化石。
孵化してから3週間未満の幼体ではないかと考えられている。
骨化石と一緒に通常は化石に残ることのない、気管・肝臓・胃・腸・血管などの軟組織まで残っているのが特徴。スキピオニクスは今回展示するホロタイプ標本1体しか発見されていない。
スキピオニクスの実物化石は3/24~東京会場のみ展示。大阪会場は複製を展示。
第4章
南半球における
獣脚類の進化
北半球のティラノサウルス類に対して、南半球ではその座にメガラプトル類がいたらしいことが、新種のメガラプトル類のマイプの発見によって明らかになりました。日本初公開のマイプを中心に南半球における獣脚類の進化をご紹介します。
福井県立恐竜博物館所蔵
メガラプトル
分類:竜盤類 獣脚類 メガラプトル類
時代:後期白亜紀
マイプ・マクロソラックス
分類:竜盤類 獣脚類 メガラプトル類 時代:後期白亜紀
本展監修者の真鍋真(国立科学博物館 副館長)らの調査隊によって、2020年にアルゼンチンで発掘され、2022年に新種として命名された肉食恐竜。推定全長10mはメガラプトル類の中で最大級。
第5章
絶滅の
最新研究
©NHK
ティラノサウルスやマイプのような大きな恐竜は、約6600万年前の隕石衝突後の世界を生き残ることはできませんでした。恐竜の一部である鳥類も多くが絶滅してしまいました。隕石衝突前後の生態系の変化から、大量絶滅の理解の現状と近未来の研究を展望します。
©NHK
会場内に高さ約4m、幅約7mの大型モニターを設置。ティラノサウルスやマイプといった本展でも紹介する恐竜たちの“攻守”のドラマを、NHKが制作した大迫力のCGでお楽しみいただきます。